『ブレインフォグ』って聞いたことがありますか?
Brain=脳 + Fog=霧
「頭の中に霧がかかったようにぼんやりして働かない」という症状です。
毎日私たちは何かを考え、選択をし、そして暮らしています。
仕事においても、プライベートにおいても、常に思考し、決定し、行動している。
でもなんだか最近、前に比べて頭がよく働かないな、と思ったり、記憶力や集中力が落ちたな、と感じたりすることはないでしょうか?
「あれ?ボケたのかなぁ?」なんて冗談を言ったりしますが、実はあながち間違いではないのかもしれません。
ブレインフォグは“病気”ではなく、体の中で『なにかが起きている』ことを教えてくれているシグナルとも言える“症状”です。
霧がかかったぼんやりした頭の中ではなく、雲ひとつない澄んだ空のような頭の中にするには、どうしたらいいのか、探っていきましょう。
目次から各項目に飛べますので、気になるところからチェックできます!
目次
こんなことを最近感じたりするようになってはいませんか?
もう少し具体的にかみ砕くと、
このようなことが慢性的に起きているとしたら、それはもしかしたら『ブレインフォグ』の状態かもしれません。
自分にしかわからないこれらのことが徐々に起こってくると、「歳のせいだ」とか「こんなものかな」と受け流してしまうかもしれませんが、でも実はこれ、疲労の蓄積や生活習慣の中から、体の中で“炎症”や“栄養不足”または“毒素”などが原因になって、何かが起こっているのかもしれません。
あまりまだよくわかっていないこの『ブレインフォグ』。慢性的に起きるこの症状で、毎日が鬱々としたりイライラするのはもうたくさん!と感じているとしたら。
考えられる原因から自分にとって思いあたる原因を割り出して、改善の道を見つけていきましょう。そして、スッキリした人生を、歩いていきましょう!
ストレスが慢性的になると、自律神経を乱し、血行不良がおきることで血圧を上げ、免疫システムを弱め、そのうちに気分的な抑うつ状態が引き起こされ、そして脳の機能に影響が生じるようになってきます。
など、毎日の環境の中での自分の限界値を超えることが続くと、それは慢性的なストレスとなり、神経疲労=脳疲労となっていきます。
ストレスは万病の元と言われますが、ブレインフォグにとってストレスはダイレクトに大きな影響があるように感じられますね。
血流を上げるためには運動がもっとも速い。
ブレインフォグが起きる過程では、さまざまな毒素が脳の中に入ってしまうと考えられています。ただし、それを防ぐことができる脳由来神経栄養因子(BDNF)というものがあり、それはなんと運動をすることで増やすことができるのだそうです。
もしその因子が不足すると、「リーキーブレイン」といって脳の中に毒素が漏れ入っていく現象が次々と起き、脳の機能を低下させることで、後にアルツハイマー病を発症することにもなる、と考えられているそうです。
腸漏れ=リーキーガットみたいなことが、脳でも起きてしまうんですね。
睡眠不足が続くと頭がボーっとする、集中できない、眠気がすぐ襲ってくる。そんな経験、誰しもありますよね。
睡眠は、時間の長さではなく、“質のいい睡眠”をとることが重要になってきます。なぜなら、体は“睡眠不足はストレス”と感じ取り、ストレスに反応して「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
そしてこれが慢性的になることでコルチゾールの分泌量が常に高い状態が続き、脳にある「海馬」を障害していくそうなんですね。
「海馬」とは脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官
ちなみにコルチゾールは副腎から分泌され、「副腎疲労」にも関わってきますよ。
さて、このブレインフォグなんですが、実はこれ、ある病気と類似していると、とある臨床医が現場で感じているそうなんですね。さてその病気とは?
それは「アルツハイマー病」。
アルツハイマー病とは新しいことが覚えられない「記憶障害」や、場所や時間、人物などが認識できなくなる「見当識障害」という症状が現れる病気です。
また、「認知症」と言われるものもあり、記憶や認識、判断などが障害を受け、社会生活に支障をきたすとみられる症状を指すのですが、この「認知症」のもっとも割合の高い原因疾患というのが、「アルツハイマー病」と言われ、「アルツハイマー型認知症」と呼ばれています。
アルツハイマー病にかかっている人は脳そのものが全体的に委縮し、脳の表面に老人班と呼ばれる銀色のシミ「アミロイドβ」というタンパク質が確認できるという特徴がある。
(アルツハイマー病というのは、その症状が出始める25年も前から、脳のゴミと言われるアミロイドβなどの原因物質が蓄積し始めるのだそうです。つまり、このブレインフォグ現象は、アルツハイマー病の前駆症状ともいえるのかもしれません。)
この特徴をもったアルツハイマー病を改善する方法として、最近注目されている「リコード法」というものがあるそうで、これは、体の「炎症」を抑え、体に蓄積した「毒素」を解毒するという治療法だそうです。
その治療のキーとなる
ということを頭において解決法をさがしていくと、どうやらブレインフォグの改善の道も見えてくるのではないかと思われるのです。
そこで次の原因、「食事」がかなり重要になってきます。
脳と腸は『脳腸相関』という関係性があります。
腸という消化器官は、常に脳神経(自律神経)と連絡をとりあい消化活動をおこなっていることや、脳で受けたストレスを腸が感じとる、腸で起こったトラブルを脳が感じとる、など「常にお互いに反応し合う同士」という関係性です。
食事は、私たちの体を作ったり動かしたりするためのエネルギーには欠かせないものです。しかしそれと同時に、食事の摂り方を誤ると健康を脅かすものにもなってきます。以前の記事(『消化・吸収』ざっくり編)の中で消化と吸収についてまとめましたが、消化器官での働きはあたりまえのように行われているようですが、実は現代の食品を消化・吸収することには、過酷な労働を強いられているようですよ。
私たちが食べる食物がエネルギー源となって私たちの生命活動を支えてくれている以上、何をおいても、消化器官が安定していい状態でいてくれることは必須です。ここを疎かにすると、脳神経へもすぐに影響してしまうのですから。
では具体的に見ていきましょう。
トランス脂肪酸、オメガ6系脂肪酸などの「人工脂質」と「糖質」
私たちが抱える「治療法がみつかっていない現代病」の多くは、慢性炎症が絡んでいるという共通点があります。アルツハイマー型認知症などの「認知症」もそのひとつです。そしてその慢性炎症の温床を作る性質をもっているものが、「人工脂質」と「糖質」と言われています。これらはしっかりチェックしておきたい二大食品(栄養素)ですよ。
トランス脂肪酸は、「細胞膜を変形させたり細胞の機能を低下させる」という特徴があり、そしてオメガ6系脂肪酸は、細胞膜に取り込まれ炎症を引き起こすと言われています。
※トランス脂肪酸はマーガリン、ショートニング、食用植物油などと表示されている
※オメガ6系脂肪酸は大豆油、コーン油、ごま油などに含まれる
私たちの体は37兆個とも言われる細胞でできていますが、これら一つ一つの細胞が機能低下を起こし、炎症を起こすとしたら?
脳も血管も血液も神経もすべて“細胞でできている”ことを考えると、それらの細胞までもが人工脂質によって変形したり機能低下した炎症細胞になってしまうかも、ということなんですよね。
加工食品やファストフードなど、経済優先で生産されているものは、原価を抑えるためにどうしても人工脂質が使われることが多く、その性質が「健康的な食生活を送る上で支障がある」と判断をした諸外国では規制のかかっているものなのですが、日本はその規制がないため、ほぼすべての加工油脂は人工油脂が含まれていると言っても過言ではないほど使用されています。
そして砂糖を代表する糖質というものも、炎症を誘発する食品として、最近ではすっかりおなじみですね。
ご存知のように砂糖が急激に血糖値を上げると膵臓はインスリンというホルモンを出し、血糖値を下げようとします。そこで余った糖は肝臓や脂肪細胞などに脂肪として取り込まれるのですが、ここで内臓脂肪や脂肪肝となった脂肪は全身に炎症を起こす「炎症性サイトカイン」という物質を出すようになるのだそうです。そしてその炎症が脳にダメージを与え、ブレインフォグを引き起こすと考えられるのだとか。
それから、砂糖は腸でカンジダ菌のエサとなるので、腸内環境が悪化し、リーキーガットなどの症状も起こす原因になるようです。「脳腸相関」、忘れたくないですね。
グルテン(小麦たんぱく)とカゼイン(乳たんぱく)も要チェックです。
これらは腸を傷つけたり、体内でアレルギーを起こすことで副腎に負担をかけることからブレインフォグを引き起こすと言われています。これは消化・吸収の作用ですね。
またこれらには「グルタミン酸」が含まれているため、脳神経の受容体に働きかけ、脳細胞死を誘引することもあるんだそうですよ。
炎症以外のもう一つの特徴、脳の萎縮。これは加齢による生理的な現象もあるようですが、多くのエネルギーを消費する脳は、豊富な栄養を必要としています。そのため、脳の働きに重要な栄養素の摂取が不足したり、SIBOなどの症状があることで小腸での栄養吸収がきちんとできないと、結果的に栄養素不足となり、脳が委縮してしまうことになっていくのだそうです。
さて、ではその主な栄養素とはどんなものでしょうか。
ビタミンB12は主には動物性タンパク質に含まれ、脳の働きを良くするといわれている「ホモシステイン」という物質の代謝に必要な栄養素で、葉酸やビタミンB6も関わっているようです。
これらは動脈硬化も関係しているそうです。
カルシウムの吸収、免疫の働きに欠かせない。遺伝子の活性化にも必須。不足すると鬱症状が高まることも。
脳の記憶固定機構に欠かせない。
睡眠に必要なホルモンの変換に使われるため、不足すると睡眠の質を落とすことに。
脳の働きのためのエネルギー生産には絶対欠かせない「ミトコンドリア」に必要な栄養素
記憶の形成に必須。飲酒や糖質摂取の多い人は不足する傾向に。不足すると物忘れが多くなる。
体の働きを一定の環境に保つためには種々のホルモンの働きはとても重要になってきます。そしてその分泌量の過不足も、脳の機能や働きに影響し続ける結果、炎症を起こすこととなっていきます。
※「副腎疲労症候群」が原因でコルチゾールが急に分泌されないことも脳に影響する。
毒素は一度体内に入ると、なかなか体の外に出ていってくれません。そして、体内でずっと脳を攻撃し続ける要因ともなり得るそうです。
水銀は細胞がエネルギーを作る場所でその働きを妨げる。だから水銀が体内に多いと、常に頭がボーっとする、ということが起きる。
水銀が体内に入る原因としては、大型魚と歯の詰め物
ヒ素、鉛、アルミニウムなど
カビが作る毒素で、一度入るとなかなか抜けていかない。慢性疲労、線維筋痛症、認知力低下などが起こり、ブレインフォグの原因に。
じめじめした環境はカビの宝庫なので、なるべく避けるようにする。
食事のタンパク質を分解すると生じる。またカンジダ菌などで腸内環境が悪化することでも生じる。便秘があると腸内の毒素が肝臓に流入してしまうので便秘をしないことが重要。
これら、食事や経口から入るものから考えられる原因では、体の中で発生する「炎症」を取り上げてきましたが、実は炎症を引き起こすものは、「感染性の炎症」というものもあります。
風邪を始めとする急性の感染症ですとすぐに治まりますが、免疫力が低下した状態でいると、病原菌が慢性的に感染し続け、ある特定の箇所で炎症反応が続くことになります。
などがあり、その他のウィルス感染も原因となることがあります。
いづれにしても、免疫システムがうまく機能しない体内の環境をきちんと改善していくことは必須になる、と言えますね。
頭に置いておくことは「炎症」を“起こさせない”ことと“鎮める”こと、また「炎症」が起こることで低下した“体の機能をとり戻す”こと、そして体にとって有害な「毒素」を“入れない”、“外に出す”ためにはどうしたらいいのかを意識する、ということで解決法をさがしていくと、改善の道が見えてくると思います。
→ 原因1、2、3、5、7の対処法
歩く、走る、筋トレする、ヨガをする、泳ぐ、好きな球技をする、バッティングセンターやボーリングなどに行く、など、継続できる楽しそうな“体を動かすこと”を、まずはやってみませんか?
→原因4、6の対処法
→原因1,2,3,4,5,7の対処法
→原因6、7の対処法
→原因1、3、4、7の対処法
体に起きる「病気」や「症状」というものは、自身の人生の中で作ってきたものがほとんどです。すべては自分の軌跡を振り返ると、そこにたくさんの解決のヒントがあると思います。
“よくわからない”と言われるものは、不安にもなるし憂鬱になりますが、でもそれも自分の一部。しっかり体と心と向き合って、解決法を探っていきましょう。
霧の晴れた景色は、清々しく気持ちいい。