「毛髪にツヤがあり、適度に太く、黒々としている」
体の外側の状態は体の内側を反映している、と言えます。
内側とは、内臓、血管、血液など、体をつくっている目に見えない自分の中身。
今回はこの内側で起こっている、「糖と髪の毛の関係」を探っていきましょう!
まず糖を多く摂り過ぎることによって起こる、体の中の困った現象「糖化」について見ていきましょう。
食事でとりこんだ糖の量が、体が代謝できる量を上回ると、“余分な糖”として血液の中に残ります。その余分な糖はタンパク質と結びつく性質があり、結びついたタンパク質は、変性したり劣化したりしてきます。
その過程で悪玉物質が大量につくられ、いくつかの段階を経て、もともとのタンパク質とは似ても似つかない「糖とタンパク質の化合物」がつくられるのだとか。それを終末糖化産物=AGEと呼ぶのだそうですが、この一連のことを「糖化」といいます。
段階を経て、とお伝えしましたが、初期段階ではまだ再生できるものが、その段階を過ぎ、後期段階まで進むと、最終的な「AGE」となり、そこまで行ってしまうと、もう二度と元のタンパク質や糖質には戻れなくなるというんですね。
さらにその最終的な糖化産物=AGEが体のあちこちに蓄積すると、その部位の老化が著しく進み、体を構成するタンパク質の機能が低下していってしまいます。
わかりやすいところでは、コラーゲン。
このコラーゲンは体内のタンパク質の約30%を占めていて、皮膚や筋肉、内臓、骨、目など全身に分布し、体型を保ったり、肌の弾力や筋肉の柔軟性といった機能には欠かせないもの。
このコラーゲン繊維は、細胞同士をくっつける役目をしていることから、もしこのAGEがコラーゲンに蓄積すると、皮膚や筋肉などを構成する組織が硬化することになり、弾力を失い、シミ・しわ・たるみ、骨をもろくするなど、全身に影響を及ぼすわけですね。
そして実は血管もコラーゲンでできています。ですのでAGEが血管に蓄積すると、血管が硬くなってくる(動脈硬化)ことにもなり、アテローム硬化という「厚くなった動脈の内部にアテロームという固まりが生じる」ことになり、全身の細胞、そして髪の毛にとっても大事な血液がしっかり流れない状態をつくっていってしまうと考えられるんです。
そしてもちろん、頭皮への血流が影響を受ければ、毛根への栄養も届かず、タンパク質でもある「ケラチン」がほとんどを占める髪の毛自体も影響を受け、コシがなく細い髪の毛になる、抜けやすくなる、という連鎖が生まれてくると考えられます。
体の末端は特に毛細血管が活躍する場ですから、血管が硬くなることで毛細血管からの栄養を受けにくくなる、ということなんでしょうね。
ごはん大好き!パン大好き!ラーメン大好き!な方には残念なお知らせですが、食事の内容を少し変える必要があるようです。
糖分や脂肪分の多いファーストフードや単品メニューを好んで食べ続けたり、自律神経のはたらきを低下させてしまような不規則な生活をしていると、体の健康な代謝活動に影響を与えてしまうことにつながり、病的な老化を早めてしまうことになります。
「糖質制限」ほど極端なことをする必要はありませんが、普段の食事や間食で糖質を多く摂り過ぎていると感じているのであれば、食事の内容の「糖質の割合」を、勇気をもって減らすことはとても重要になってきますよ。
最初にもお話しした通り、「糖化」とは、糖とタンパク質がくっついた状態です。
つまり、糖だけ、タンパク質だけで発生するものではありません。
では大好きな糖だけでもいいの?!と思ったらそれは大間違い。
体はタンパク質でできているので、“そこに流れ込む糖の量を抑える“。
これしかないんですね。
だからといって、「スイーツを食べたいからご飯を食べない」というのはこれまた大きな間違いで、基本的には食事をきちんととり、摂るべき栄養素(ビタミンやミネラル)を摂ることで正常に内臓を機能させることで、結果的に糖化をスローダウンさせる確かな方法になってきます。
ですから、“スイーツの優先順位は後にする”という習慣をつけることはとても大切な決意になってきます。
糖の吸収を抑えるひとつの工夫としては、食べる順番を
野菜・きのこ類 → タンパク質 → ごはん・パン・麺類
(またはタンパク質をより吸収させたければタンパク質ファーストもあり)
というように、炭水化物を後にすることで血糖値の上がり方をゆっくりにし、糖の吸収を少なくする、ということも有効かと思います。
食パンをトーストすると焦げ色がつくように、また、玉ねぎを炒めると飴色になるように、糖というのは「熱を加えることでAGEが生まれる」ことも覚えておく必要があります。
しかもその温度が高熱であればあるほど、AGEの量は増すのだそうです。
よく言われるのが、糖質の多いジャガイモを揚げたもの、“フライドポテト”や“ポテトチップス”などは特にAGEが多く発生するので、ジャガイモの調理方法や、そうした食べ物を食べること自体にも少し気をつけた方がよさそうです。
調理方法によるAGEの低い方から並べてみると
生 → 蒸す → 茹でる → 焼く → 揚げる
となっています。
どうでしょう?
好きな料理の調理方法が右側が多ければ多いほど、糖化が進んでいる、と言えるかもしれませんね。
自分で調理する場合も、外食する場合も、そして加工されている食品を選ぶときも、どんな調理方法かを意識することで、糖化が体の中で起きることを十分防ぐことができます。
たとえば焼きギョーザよりもシュウマイ、バンズよりもベーグルの方がAGEは低くなるそうです。
そしてもう一つ気をつけることで、人工甘味料(ソルビトール、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなど)は通常の糖に比べて10倍の速さでAGEを作ると言われています。
今や加工品の多くは、こうした人工甘味料が多く使われていますので、カロリーが低いから、などという理由で、安価な食品を選ぶことのないように、成分表示チェックは習慣づけていきたいですね。