さて、免疫というはたらきが自律神経に調整されているとしたときに、では免疫力を整えるにはいったいどうしたらいいの?を知っていくには、今現在の自分の状態を知らなければ始まらない!ということになってきます。
そこで、「免疫力がどれだけあるのか」ということをチェックできる方法をお話ししたいと思います。
免疫力が高い(外敵からの防御システムがちゃんと機能する)状態でいるためには、ヒトは深部体温が37.2℃である必要があります。
私たちが生命活動を維持するためには、何十兆という細胞や何百兆という菌類が活動する体内で、「酵素」というものが重要な役目を担っています。
「酵素」というのは、数にすると数千種類もあり、食べたものを細かく分解して「消化吸収」しやすくするために働いてくれるものや、呼吸や老廃物の排出など「代謝」をおこなうなど、私たちの生命活動にはなくてはならない物質です。
それぞれの持ち場で、日々日々ちゃんと仕事をしてくれているおかげで、私たちは毎日元気に過ごせています。
そんな、なくてはならない酵素がもっとも効果的に働ける環境が、体内の深部体温37.2℃ということなのです。
ただ、深部温度を測ることはできないので、体温測定を「舌下」か「わきの下」で行ってみて下さい。そのとき
の場合、要注意となります。
つまり、体温測定をしたときに、上記の温度以上であれば、体内の深部温度は37.2℃に達していると考えられるのですが、それ以下になっていると、体内酵素の働きが鈍り、免疫力が低下している可能性が高い、と考えられるんですね。
そして、もう少し精度を高めて確認したい場合
免疫のはたらきの要となる白血球ですが、免疫機能のおさらいでもお話ししたように、白血球には、やや大きめな細菌を担当しているもの、ウイルスや抗体に対して力を発揮するものなどいくつかの種類があります。
そのバランスがちょうどよく保たれていれば、体の中に侵入してきたものをやっつけたり、体の中で起きる問題箇所を治癒していく働きに応じることができる、つまり免疫力がきちんと作動する状態になっていることになります。
でもそのバランスが崩れると、体内の各所で不具合が起きてくることになる。その兆候がチーム白血球のキャストの数で推測できるということなんですね。
そのためには病院で血液検査を受け、その際「白血球分画」という、白血球の総数やその内訳を知ることができる項目を調べてもらう必要があります。(白血球分画が項目にない場合は、病院にその旨を希望してみると調べてもらえるそうです)
検査数値で確認する目安としては
白血球の総数 4000/㎕ 以下 であると免疫力の低下が疑われる、とのこと。
(ただしやせ型の人は少ない傾向があるそうです)
また、正常な割合の 顆粒球:リンパ球の比率 が大幅に崩れる数値は要注意。
その値としては、白血球の内の
リンパ球の割合(リンパ球比率)が
30%以下 または 50%以上 という割合だと注意が必要ということです。
体温が36℃以下でリンパ球比率が30%以下になると、体内での重要な酵素などのはたらきが不十分になり、血流障害を招くことで、栄養不良や老廃物の排出などの代謝力が落ちるという悪循環が起きてきます。
そして免疫力が低い状態になるため、体の外からの侵入も防ぎきることができず、体の中で起こる炎症などを治癒する力が弱まり、糖尿病やガン、関節リウマチや高血圧などなどメジャーな病気の基礎固めとなっていきます。
また反対に、リンパ球比率が50%以上になると、副交感神経がはたらき過ぎている状態となり、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が起こりやすくなります。
ということで、そんな白血球の比率を整えるために頭に置いておくポイントを次にお話ししたいと思います。
自律神経については何度かお話ししてきましたように、活動時には交感神経、そして休息時には副交感神経という二つの神経が、シーソーのような力バランスで働き、心臓の拍動や血液の流れ、消化吸収など、体の内部をコントロールしている神経になります。
手足を動かすように、私たちの意思で動かす神経とは違うタイプのため、その扱いはやや難しく感じてしまいますが、主に意識するのは「副交感神経をはたらかせること」と考えると、少しイメージがしやすくなってきませんか?
どちらかというと、現代人は、仕事のし過ぎ、精神的な悩みや疲労など、心身にストレスがかかることが多過ぎるため、「交感神経優位」になり、病気自体も交感神経緊張が元になっているものの方が多くなっています。
ストレス過多になると減ってしまう、血中のリンパ球の割合を高く戻すことが、免疫力を正常に機能させるためにどうしても必要になってきます。
そのために、副交感神経が優位になるための行動を、生活の中に積極的に取り入れていきましょう。
免疫力が正常に機能するための環境として欠かせないのが、必要な温度が保たれること、そして酸素がたっぷりあること。
ガン細胞が苦手な環境が、「高温」と「高酸素」というのはご存知でしょうか?
それとは逆の「低体温」「低酸素」という環境は、ガン細胞にとっては格好の増殖環境。つまりそれは、自然免疫では力が十分発揮できない、「免疫力の低い状態」ということなんですね。
ちょっと話が難しくなってきますが、これには細胞の中で常に起こっているエネルギーを産生する仕組みが大きく関わっていて、細胞の中にある「ミトコンドリア」の数やそのはたらきが影響してくる、そんな話になっていきます。
ミトコンドリアはとにかく酸素を必要とするので、ミトコンドリアがたくさん細胞の中にいるということは、体の中に酸素がたっぷりあることになり、それはつまり免疫力を正常に機能させるためにはとても大切なことになってくるのです。
このエネルギーがつくられるはたらきも、免疫力のはたらきには欠かせないことなので、これについてはまた次回お話ししたいと思います。
*参考資料「安保徹の免疫力を上げる45の方法」