予防すること

「免疫」というはたらき

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「免疫力は生命力」

私はそう思っています。

生まれながらにしていろいろな力を携えている私たち。

ココロもカラダもさまざまなものに対して適応する中で「免疫力」を養いながら、今この瞬間を生きています。

私の考える免疫力とは、自分のいのちを全うするための生き抜く力=生命力だと思っていますが、実際に体の中で起こる「免疫」というはたらきが、「生き抜くための体の力」を強力にしてくれています。

そのはたらきがきちんと機能してくれるから、外界のあらゆるものから私たちは守られているんですよね。

免疫というはたらき。多くの役割分担がされていて、本当によくできたシステムです。

この仕組みは全ての人にあるもので、そしてこの仕組みが私たちを守ってくれているのであれば、この仕組みをちゃんと知ることは、自分の体をよく知ることができ、自分の生命力を強くしていく知恵になる、と私は考えます。

免疫の要は白血球

「健康な血液は免疫力を強くする」

なぜならそれは、血液は栄養を私たちの体の隅々まで運んでくれるから。

そして体の中に侵入した細菌類やウイルス、いらなくなった多くのものを体の外に出す仕事を請け負ってくれているから。

免疫の要はこの血液の中の白血球という成分。後者のはたらきを担っています。

白血球というのはたくさんの成分が集合して、白血球というグループをつくっています。

ではこの白血球がそれ自身で自律的にはたらいているかというと、半分NOだけど半分YES。

いろんな役割担当が責任をもって、実にいいはたらきをしてくれているのです。

細菌は大きくてウイルスは小さい

免疫がはたらくときに、「敵が侵入した!」とよく言いますが、その「敵」とされるものは“細菌類”や“ウイルス”のことをいいますよね。

一言で「敵!」というとみんな一緒くたにしてしまいますが、“細菌類”と“ウイルス”、大きさがずいぶん違うということをご存知ですか?

たとえば、人の細胞の直径が0.01mmであった場合、細菌は0.001mm、ウイルスは0.0001mmというくらい大きさが違うらしいんですね。(あまりに小さすぎて想像も難しいですが。)

この「敵!」が侵入してきたときに、真っ先にかけつけるのは「顆粒球」という白血球。異物を飲み込む力が強く、細菌を食べるとすぐ死滅。

そして「マクロファージ」はむしゃむしゃと細菌を食べながら敵がウイルスだと、小さいもの担当の「リンパ球」にお知らせ(抗原提示)し、対応してもらうんです。

このように、その大きさは目に見えないほど小さいものですが、こういった「敵!」とされるものたちが体の中へ入ってきたときに、白血球の中の担当者たちはそれぞれ動き出すわけなんです。

[白血球たちの仕事]
・敵!とされる病原体が体の中に入ってきたらすぐにわかるようにパトロールをしている
・敵!を発見したら食べて消化してしまう
・敵!を識別して、どんな敵!がやってきたかを各担当者に伝える
・敵!を記憶して、次また同じ敵!がやってきたら、排除するように自動的に作動する
・パトロール担当もいれば、前線で闘う担当もいれば、サポート役もいる
・古くなった細胞、戦った後の死骸や固まった血液なども食べてしまう など

外敵が入ってきたとき、いろんな得意分野をもった成分のチーム白血球は、こうした仕事を実に巧みに行っているのです。そしてこのチームワークが私たちを外敵から守ってくれる「免疫」というはたらきになるのです。

ふたつの免疫機能

そして「免疫」には

  1. 自然免疫 
  2. 獲得免疫 

という二種類の機能があるんですね。

(1) 自然免疫

これは生まれながらにして備わる免疫システムで、自分の力で自分の体を元に戻していくという自然治癒力の根幹をなすもの

切り傷からばい菌が入ってきた!風邪のウイルスが入ってきた!といったときに元に戻そうと働いてくれる、その免疫のはたらきです。

それに加えて、飲食物や口の中など、あらゆる場所に細菌や毒素は存在し、さまざまな経路から体の中に入ってくることは常に起こっていること。

これらの、体にとっては不要なもの、生きていく上で負担になるものは、体の外に出さなければ病気の元となっていきます。

そういうはたらきを、この自然免疫ががんばって排除してくれているわけなんです。

このほかにも、体の中で発生した異常細胞なんかも担当してくれるのがこちらの自然免疫なんですね。

それとは別に

(2) 獲得免疫

これは人間が進化してきた中で身に付けた、新しい免疫機能だといわれています。

それは、外から入ってきた敵!となるものを記憶することで、二度目には即座に攻撃し、病気にかかりにくくするという機能

これは実は若いころによく働くようにできているのだとか。

というのは、体にある「胸腺」というところは20歳を過ぎると委縮が始まって脂肪の塊になっていき、脾臓やリンパ節という免疫に関わる場所までも委縮が始まるのだとか。

それに応じて、この免疫のはたらきに必要な白血球の成分も減るらしいんですね。

この新しい免疫システムは、生まれてから成人になるまでを生き抜くために設定された免疫システム、とでもいうのでしょうか。

こうした二つのタイプの免疫機能は、成長(加齢)とともに変化しています。

新しい免疫機能といわれる「獲得免疫」はくり返し同じ病気にかからないことに対して特に強く、生まれながらにして備わる「自然免疫」は、それ以外の体の中で起こるすべての異常事態に対応する、広くて複雑な防衛機能を担ってくれているということなんですね。

自律神経は免疫系の司令塔

自律神経はご存知、交感神経と副交感神経という二つの相対する神経からなりたっています。

交感神経は昼間の活動時、緊張や興奮に関わるアクティブな神経です。

この神経がはたらくときに、「アドレナリン」という神経伝達物質が出ます。

副交感神経は休息時や食事のときなど、ゆるんだときにはたらく神経。

この神経がはたらくときは、「アセチルコリン」という神経伝達物質が出ます。

なんだか小難しい言葉がならびますが、この自律神経の力バランスはシーソーのようになっているので、両方が同時に強くなることはありません。

そして病気というのは、この自律神経のバランスが“極端にどちらかに寄ったときに起こる”という考えがあり、この自律神経の乱れと免疫というはたらきに、実は切っても切れない密接な関係があるのですね。

 

というあたりで、次回へつづく

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