予防すること

自律神経は免疫も調整していた

このエントリーをはてなブックマークに追加

前回お話しした、体を外敵から守ろうとするはたらき、「免疫」

この「免疫」の機能には、実は「自律神経」が大きく関わっています。

自律神経とは、全身の血管や内臓などの“体の内部のはたらき”を人間の意思とは関係なく調節する指令を出している神経。

1996年、福田稔医師と安保徹医師の共同研究によって『自律神経の白血球支配の法則』が見つけられたことで、この自律神経が免疫と大きく関わるということがわかってきました。

私はこのことを知ったとき、私たちの最強の味方「免疫力」を自分で育てることができる知恵になる!と思ったんです。

「原理原則がわかると、自分の環境に合わせ自分のやり方で応用できる」

私はいつも自分でなにかをする上で、これはとても大切なこととして心に留めています。

自分を守れるのは自分。
そして自分の大切な人も守れる。

こういった知恵を、たくさん身につけていきたいものですね。

免疫機能おさらい

まず免疫機能ですが、肝になるものは白血球です。

白血球のさまざまな成分がそれぞれの役割を、必要に応じて発揮しています。

(そのはたらきは[白血球たちの仕事]参照。)

このはたらきは「単球」「顆粒球」というパトロール隊の白血球が、まず敵を見つけ、細菌類を食べて消滅させたり、その敵が何者なのかを他の仲間たちへ知らせる抗原提示の役目などを果たしています。

このとき、より小さなウイルスは「リンパ球」へ知らせ、リンパ球の中のナチュラルキラー細胞(NK細胞)、ヘルパーT細胞、B細胞、キラーT細胞などの精鋭部隊がそれぞれの役割を颯爽とこなします。

このたくさんの『チーム白血球』のキャストたちがいるのですが、この中で免疫力を量る時にポイントとなってくる「顆粒球」と「リンパ球」のバランスが『自律神経の白血球支配の法則』のキーになってきます。

自律神経と白血球のひみつ

自律神経とは、活動時によりはたらく「交感神経」と、休息時によりはたらく「副交感神経」がシーソーのように力バランスをとりながらはたらく神経です。

忙しすぎる過酷な生き方や、無理し過ぎる生き方があまり長い間続くと、それがストレスとなり、このシーソーバランスをリズミカルに維持することが難しくなります。するとそのうち交感神経ばかりはたらいている状態になってしまい、正常なリズムに戻りにくくなります。

そしてそれとは逆に、飽食や運動不足が続くような緩んだ不活発な生活が続くと、副交感神経がはたらき過ぎる状態が起きてきます。

このように交感神経がはたらき過ぎると、さきほどの「顆粒球」の割合が多くなってきてしまい、逆に副交感神経がはたらき過ぎると「リンパ球」の割合が多くなってしまうということなんです。

正常な割合は
顆粒球 54%~60%  :  リンパ球 35~41%

ということですが、この割合に偏りが出てくると、それぞれ不調が出てくる、と言われています。

「顆粒球」が多すぎると

顆粒球は興奮した時に出るとよく言われているアドレナリンというホルモンを受け取る受容体をもち、細菌類などの比較的大きな外敵をやっつけていくのですが、この顆粒球が増えて死んでいくとき活性酸素を出すことで、正常な細胞を酸化させて炎症を起こしていくらしいんですね。

ご存知のように活性酸素は体を錆びさせ、老化=病気をつくっていく大元になるもの。

つまり、よくある多くの病気はこの顆粒球が血液中に過剰にあると発生しやすくなるということなんです。

たとえばこんな病気↓

組織の老化

シミ、シワ、くすみ、動脈硬化 など

組織破壊による炎症

胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、十二指腸潰瘍、白内障、痛風、糖尿病 癌 など

化膿性の炎症

急性肺炎、急性虫垂炎、肝炎、胃炎、口内炎、にきび など

組織に老廃物がたまる

肩こり、五十肩、関節リウマチ、耳鳴り、膝痛、アトピー性皮膚炎(大人)、頭痛、高血圧、痔、脳梗塞、心筋梗塞、歯周病、脱毛、子宮筋腫、冷え性 など

最近ますます増加していて治りにくいといわれている潰瘍性大腸炎やクローン病など、慢性的に炎症(慢性炎症)が起きている病気が挙がってますね。そして多くの人によくある、肩こり冷え性五十肩なども、血液の状態が顆粒球が多すぎる状態=交感神経がはたらき過ぎだということが分かれば、改善方法につながる大きなヒントになりますよね。

「リンパ球」が多すぎると

リンパ球アセチルコリンという物質の受容体をもっています。そして副交感神経がはたらき過ぎるとアセチルコリンを過剰に分泌させることになり、リンパ球が増えていくということがわかっています。

アセチルコリンというのは血管を開く作用があって、あまり副交感神経が優位になり過ぎると血管が開き過ぎることになり、すると血液がよどんで流れにくくなることで“うっ血”を起こし、血流障害となって冷えをもたらすというんですね。

実は、リンパ球が多いのは免疫力が高い状態

でも“リンパ球が多過ぎる状態”というのは、つまり、体に一度侵入した抗原(アレルギー反応を引き起こす原因となるもの)が、過剰に反応してしまう抗原抗体反応を強く起こしてしまうということを意味しています。

そんな副交感神経が優位になることで発症しやすくなる病気は、病気全体の3~4割を占めているとのことで、たとえば↓

  • アレルギー疾患全般(子供のアトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症 など)
  • うつ病などの気力や活力の低下が引き起こす精神的な症状や病気

そのほかにも、

  • 食欲が亢進し過食になりやすい
  • 活力が低下しているため運動不足になり肥満 など

そしてちょっと気に留めたい事としては、

  • 過剰なリラックス状態が極まると、交感神経が緊張状態になる、という現象

このように、「リラックスのし過ぎも病を生む」というのです。なんでも“過ぎること”は害になるということです。

しかし「なにごともバランスが大事」と言いますが、免疫力を調整してしまう自律神経においては、“バランスを保つ”ことが特に大事になってくると感じますね。

まとめ

自律神経の乱れを解消する=白血球のバランスを回復することで、不調を止めることができる

と、この『自律神経の白血球支配の法則』は教えてくれています。

ではそれぞれの特徴を簡単にまとめてみます。

(1) 交感神経のはたらき過ぎ = 顆粒球が多い 場合

仕事のし過ぎ、心の悩み、薬を摂り過ぎる、などが元になったストレス過剰な心身の場合、「交感神経のはたらき過ぎ」の状態になっています。

そのままの状態でいると、さまざまな不調を生み、病気へとつながる可能性が出てくるので、思いあたるストレスの原因をいろいろな形で解消すると、シーソーバランスの副交感神経のはたらきが上ってきます。

 ↓

すると顆粒球の増加がおさまり、活性酸素が体の中に増えることも落ち着いてきます。

 ↓

そして代わりにリンパ球の数が増えてくるため、免疫力が高まってきます

 ↓

リンパ球が増えると血管が広がる傾向になり、血流が上がることで、冷えが解消したり、新陳代謝が上ってきます。

このような流れで体の中の状態が調ってくると、自然に免疫のはたらきが正常になり、「免疫力」が強くなってくる、そして自律的に自分の治癒力が高まってくる環境になってくる、ということになります

(2) 副交感神経のはたらき過ぎ = リンパ球が多すぎる場合

リラックスし過ぎで食べ過ぎや運動不足になるなど、不活発な状態が過剰になると副交感神経がはたらき過ぎる状態になってきます。

リンパ球が多いというのは免疫力は高い、ということですが、リンパ球が過剰になってくると、アレルギーや免疫の抗原抗体反応などが起きやすい状態をつくってしまいます

ですので、体を動かしたり、食事を工夫する、甘やかした生活をしないようにするなど、活発な生活にシフトしていくことで、交感神経がはたらき、血液の中に顆粒球の数が増えてきます。

 ↓

すると多すぎたリンパ球の数が正常な数になってくることで、過剰に反応していた免疫反応も落ち着いてきます。

 ↓

そして身体活動が活発になると交感神経がちょうどよくはたらくようになるので、アセチルコリンが広げ過ぎていた血管も“弾力”をとり戻し、血流が改善し、冷えの解消にもつながります。

リンパ球が過剰なタイプの人の方が自律神経の乱れを回復しやすいということなので、顆粒球とのバランスが調うように工夫することで、快適な毎日を送れる日も遠くないようですよ。

それではどのように自律神経のバランスを取っていくのがいいのか?

 

これについてはまた次回へ

このエントリーをはてなブックマークに追加