胃と腸のこと

本来の腸をとり戻す

このエントリーをはてなブックマークに追加

「腸内環境をととのえることが健康のカギ」そんなことも今では常識のように耳にします。

実際には腸に関する研究はまだ始まったばかりのようですが、しかし、腸には治療法が見つからないと言われる現代病や難病を改善できる可能性がある、とわかってきてたというのです。

それはどういうことなのでしょうか?

もっとも原始的な人体の器官、腸。

この腸が、脳に並ぶもうひとつの指令塔と言われています。

未知のことだらけですが、少しずつ解明し始めている腸の世界を記録していきたいと思います。

まずは基礎となる“腸の良い状態”とはどのような状態かを確認していきましょう。

腸が良い状態とは

1.便秘(下痢)をしていない

食べたものを出す力。基本の基本ですが、きちんと毎日できているでしょうか?

「便秘」という定義は本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態のことをいうそうです。

ポイントは、“十分量”“快適”であるかどうか。残便感がなく、力まずにすーっと出てスッキリするかどうか、です。

例えば一日に数回排便があったとしても、残便感があれば便秘なのだそうです。

そして、朝はスッキリ出たが、夕方便意を催したものの何だか残便感がある、という場合も便秘なのだとか。それは本来排出するべきものが、出ないから。

かつては400gほどあった日本人の一日の排便の量が、現在では半分の200gになっているそうです。

しっかりと排出するべきものを排出できない腸に変わってきてしまっているのかもしれません。

意外とあてはまる人も多いのでは?

また「下痢」というのは、便秘の逆で、排出されているからいいのでは?便秘よりマシなのでは?と思う人もいるかもしれませんが、現象は違えど、下痢も便秘と同じように健全な排出ではないので、良い腸の状態ではないのです。

2.おならや便が臭くない

おならというのは、その成分の大半は食事中にのみこんだ空気で、残りは大腸内の細菌が食べ物かすを分解して出す水素やメタンなどの無臭のガスなのだそう。

ですから普通はおならというのはあまり臭いがしないもの。

ただ、腸内環境が悪化すると、とたんに臭いが発生します。

いわゆる悪玉菌といわれる菌の勢力が増している、というサインです。

原因のひとつとしては、本来は大腸までは行きつかないタンパク質や動物性の脂などが、過剰摂取になるなどして消化・吸収されきれず、残りが大腸まで届いてしまい、悪玉菌のエサとなり、悪玉菌優勢な腸内環境になっていくため。

さらに、糖質制限などで炭水化物から摂れるはずの食物繊維が摂れない、野菜料理の不足などが原因で食物繊維が不足する、なども、悪玉菌の温床になっていく原因として挙げられるそうです。

かつては野菜の摂取量が多かった日本人。現代では欧米人と逆転して、食物繊維の摂取量がだいぶ減っているそうです。

3.お腹が張らない

お腹が張る原因としては、

  • 便秘による腸内細菌がガスを発生させる
  • 根菜やイモ類などの食物繊維の摂り過ぎ
  • ストレスなどによる胃腸のはたらきの異常
  • 食生活の乱れなどによる腸内環境の悪化

など、いろいろと考えられます。

お腹が張るということは、お腹の中でガスが発生し停滞している状態。気が動いていない状態です。

ですからもちろん食欲はわかない、お腹が痛い、気分が優れないなど、とても不快な状態ですね。

お腹の張らないスッキリとした毎日、というのも、重要なバロメーターになってきます。

胃腸のはたらきが安定するには、消化酵素がきちんと分泌されることや腸内細菌がバランスよく食べ物を消化・吸収できるなど、さまざまなことが滞りなく行われる環境が必要になってくるんですね。

健康な状態だと、これがあたりまえに行われているのですから、人の体というのは本当に神秘的だと思います。

腸内環境をととのえるためのヒント

いくつかの観点から見ていきたいと思います。

  1. 習慣にしたいこと
    • 朝一杯の水分を飲む
      → 腸を冷やさない白湯、浄水された水、レモンウォーター
    • 消化に負担にならない朝食をとる
       → 旬のフルーツ、一汁一菜の和食など自分に合ったもの
    • トイレに座る
      → 排泄のリズムをつくる
    • 朝日を浴びる
      → セロトニン分泌をすることでその日の良眠にいい
    • 日付の変わらない時間に就寝する
      → 24時の副交感神経タイムにしっかり休む
    • 30分程度の運動
      → 日常生活の中での歩く程度でも、継続が大事

  2. 食事
    • 消化・吸収能力を低下させ免疫機能を低下させるものはできるだけ摂らない
      → 食品添加物、超加工食品、甘いお菓子、スナック菓子、総菜パンなど
    • ビフィズス菌をとる
      → ビフィズス菌は大腸に必要だが加齢とともに減ってしまうので積極的に
    • 乳酸菌、発酵食をとる
      → できれば植物性の乳酸菌がよく、漬物、納豆、甘酒など腸内細菌のはたらきを助けるものを
    • 水溶性食物繊維をとる
      → ネバトロ系の野菜や海藻、熟した果物など
    • 脂質も適量とる
      → たんぱく質に自然に含まれるものやバター、オリーブオイルなど
    • 食事は量より品数
      → 小鉢や総菜を複数えらび食物繊維をとるようにこころがける
    • ワイン・紅茶・コーヒー・チョコレートを楽しむ
      → ポリフェノールは腸内フローラを活性させる
    • 水道水はろ過したもの
      → 水道水の塩素は腸内細菌のはたらきを弱める

  3. 気をつけること
    • 安易に薬に頼らない
      → 抗生物質は一週間の服用で腸内細菌をすべて死滅させる
    • 下剤を常用しない
      → 自然な排便力が落ち、内臓機能が低下し、腸内環境を悪化させる
    • 大腸がん検診を定期的に受ける
      → 早期発見が大事

できることはたくさんありますが、今の状態を知り、自分に合った方法で生活の中からお腹を元気に保っていけるといいですね。

毎日スッキリしたお腹は、毎日スッキリした気分で元気に過ごせます。

腸と心もつながっているんですね。

この記事を書いた人
有賀 理香
鍼灸マッサージ師。徳島県阿南市からいのちのこと、生きることを心の底から楽しむ人生を発信。
このエントリーをはてなブックマークに追加